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お寺に墓があるのはおかしかった!(書評:儒教とは何か 増強版)

儒教とは何か 増強版」 加地伸行 中公新書

本屋で検索して新書コーナーの最下段で発見

完成度:5 有用度:4 わかりやすさ:4 総合評価:5

 

中公新書というだけあって、かなりしっかりした新書。

偉そうに聞こえたら心苦しいが、ぱっと見で読む気が失せる人も多いと思う。

最近の本に比べると文字数が小さいし、難しい単語がたくさん出てくる。

 

まず、どうして儒教の本を読んだかについて、触れておく。

そもそも、自分はいっぱしの社会人として、日本人として、

日本のことをちゃんと知らなきゃいけないと思っている。

(それによって自分のどこが日本人ぽくてどこがナウいのかわかると思った)

そのなかで、日本人のいわゆる和の精神やら武士道やらが

一体どういう理屈で日本人に浸透していて、

何がもとになっているのかを知りたかったのだ。

 

昨年から司馬遼太郎をはじめとしたおもろい歴史関係の本に出会えて、

百田尚樹と不死身の兵隊と司馬遼太郎が北海道でつながった話 - 白線から落ちたらマグマ

あなたの「日本人像」は日本の歴史と合っているだろうか (書評:げんきな日本論) - 白線から落ちたらマグマ

(もともと自分は理系出身で歴史は大嫌いの素寒貧だった)

興味をもった1つが宗教についてだった。

日本には大きく分けると神道仏教儒教が浸透しているが、

そもそも「君の宗教は?」とか聞かれたら「え...浄土真宗?」とわたわたするくらい、

日本人の宗教観は薄い。

 

歴史上、日本という国は中国の文化の影響を色濃く受けてきた。

だが実際のところ現代において、

日本と中国、韓国は見た目以外はあんまり似てない気がする。

どの国も多神教なのに。

しかし、3国とも儒教が国民に浸透しているのだ。

そんなわけで儒教ってなんぞや?となって本屋に走ったのである。

 

ちなみにこの本、全部読んでないです(爆)

全部読むのに1カ月くらいかかる予感がして、

初めの方と終わりの方を読んだら概略はつかめたのでOKってことにした。

ただこの本、難しそうに見えて中身は単純明快な作りになっていて、

非常に要点がつかみやすかった。いい本ですよ!

 

さて、日本は神道仏教儒教が交じり合っているけど、まずは、その例を。

日本人の多くの場合、お葬式をあげるのは寺です。つまり仏教

それで、遺影をかかげて、棺桶のなかの亡き人に手を合わせますね。ここ儒教

それで帰りに清めの塩をもらって、自分の家に入る前に体にかけますね。これ神道

これだけで、どんだけ日本人節操ないねんってつっこみたくなる 笑

 

本来、仏教というのは生きること、老いること、病気になること、死ぬこと、

すべて「苦しみ」と捉えます(若くても煩悩による悩みから逃れられない)。

生きているあいだ苦しみ続け、死んだら49日後に転生します。

そして生まれ変わってまた苦しみ始めます(このループが輪廻転生)。

つまり、ずーっと「苦しみ」です。

それから逃れるには、修行して解き放たれる(解脱)しかないのです。

そう考えると、めっちゃシビアな考えよね。

 

そして仏教の転生というのは生前の行いによって何に生まれ変わるか、

死んだ49日の間に決められるのですが、

それはもうここでは自分とは関係のない何かしらの生物と考えましょう。

そもそもお葬式で手を合わせて拝むべきは遺体ではなくて、仏です。

葬式に遺影や遺体は必要ないんです。

なぜならもう死者の魂は帰ってこないし、今生まれ変わり準備中だから。

仏教では遺体はただの残りかす、とくに大事にしません。

 

でも日本のお寺には遺骨を納める墓があります。

これは死者は甦るのだ、と考える儒教の考え。

「甦る」というのは納得できかねるが、

魂が戻るかもしれないから肉体だってぞんざいには扱えないわけである。

そして、儒教では血のつながりをとても大切にする。

今自分がいるのは祖先のおかげであって、

そして子孫がいる限り、自分は遠い未来でも存在できると考える。

まぁ日本の仏教は日本人にマッチするように

いろいろと都合よくされているわけである。

 

儒教、と聞くとなんだか四書五経とか孔子とかのイメージはあるが、

あんまり宗教っぽさを感じない。

この本の筆者はそこを嘆いている。

つまり儒教はその礼教性(親を大事にせい、とか)が重視されすぎていて、

宗教性が軽視されてしまっている(この礼教性は毒が強い)。

宗教の本質がはっきりするのは「死」の解釈なのだそうだが、

そこをかんがえることで、儒教の宗教性がはっきりしますということだ。

礼教性というのはそれをもとに構築された枝葉に過ぎない。

 

この本では中国と日本の比較とか、

儒教がどんなものに影響しているかなど(教育、臓器移植、姓名、経済...etc)、

面白情報てんこ盛りで、しかも仏教道教の比較なんかもされていて、

眠くなるのに面白い本として自分の中で新境地を開いている。

 

ここで、打ち明け話をひとつ。

実はこの本よりさきに新刊で見つけた本で飛びついたのがある。

儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇」 ケント・ギルバート 講談社+α新書

完成度:2 有用度:3 わかりやすさ:2 総合評価:2

タイトルだけみて、今の自分にぴったりやん!とおもってレジに持っていったら

中身はただの中韓叩き。

いやまぁ沖縄の知事はーとか知らなかった知識もあったけど、

知りたかった儒教の中身についてはほとんど触れておらず、

ただただ一部の日本人の愛国心を高ぶらせるための内容で、

儒教とは何か」より厚いくせに数時間で読み終えた。

タイトル詐欺はマジで引っかかるからやめてほしい。

この著者名に違和感を感じていればちょっと立ち止まっただろうに。

 

そんなこんなで、儒教についてはつかめてきたので、

今度は神道について学びたいと思っている。

いい本ないかしら。

 

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