わたくしはただのしがない下級メタファーです(書評:騎士団長殺し 第2部遷ろうメタファー編)

騎士団長殺し 第2部 遷ろうメタファー編」 村上春樹 新潮社

ようやく読破!

表現:5 展開:5 ユーモア:4 総合評価:5

 

延べ1000ページを超える長作を読み終えました。

前半の感想はこちら

春樹ワールド炸裂(書評:騎士団長殺し 第1部顕れるイデア編) - 白線から落ちたらマグマ

 

先に言っちゃうけど、マジでメタファー遷ろっちゃったよ...。

読む前はなんかもっと抽象的な意味のサブタイトルだと思ってたのに、

イデアは顕れるし、メタファーを遷ろっちゃったよ。

なんかそれがもう村上春樹の作品でしかできないことだなぁと感じ入って、

読みながらうんうん頷いていた。

 

さて、ここに何を書いたもんか悩ましいのだけれど、

今回の作品はこれまでの村上作品にくらべると

かなりわかりやすいストーリーだったように思う。

第1部で広げたものの回収もあったし、

目的と手段と脅威の存在がはっきりしていたので、

いつも通りのファンタジックな展開でも「そうかそうか」と受け入れやすかった。

それはもしかすると自分の村上春樹経験値の高さによるものかもしれないけれど。

 

メタファーを遷ろう前に、

騎士団長殺しが達成されるわけなのだが、

(普通の人には何言ってんのかわからないため軽いネタバレは問題ないことに気づく)

その運命的な展開を読んだときは身震いした。

そして下級メタファーが現れるのである。

(自分はここでハリーポッターのドビーを思い出した)

 

こういうストーリー自体はすごく納得がいく。筋が通っている。

ただ、立ち止まって考えると、

この騎士団長とは何を表していて、これを殺すとはどういうことを意味するのか

ということは自分で考えていくしかないわけである(ヒントは結構出されているが)。

 

その後のメタファーの川を渡って無と有の狭間を移動するという行動は

まさに村上春樹のエッセンスが詰まっているように感じた。

こんな発想は彼しかできない。

 

さて、イドという言葉がある。

これは精神学分析学の用語で無意識の部分のことをいう。

 

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春樹作品でよくでてくる井戸の穴は、

このイドを指しているのではないかと言われているが、

春樹作品を読んでいると、

自分のなかのイド、あるいは超自我のようなものが

彼の文章に引きずり出されるような心地がする。

(そもそもそれらがどういうものか自分で判別できないわけだが)

 

精神分析学なんてことを出されたら、

村上春樹の作品がどうしてうまく解説できないかわかってもらえることだろう。

そもそも自分で認識できてない裏の意識の事柄を言葉で説明できるわけない。

 

なんだか過去の春樹作品をまた読みたくなってきた(うずうず)。

おそらくは「ねじまき鳥クロニクル」や「海辺のカフカ」、「1Q84」も

扱ってるテーマは変わらないはずなのだ。

 

この書評を読んで意味不明な解説にもやもやして

村上春樹の本を手に取ってもらえればうれしい。

 

 

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