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安心してください、遺伝子だけじゃないですよ(書評:進化論の最前線)

本紹介

「進化論の最前線」 池田清彦 インターナショナル新書

新たに創刊されたらしい新書

完成度:4 有用度:5 わかりやすさ:3 総合評価:4

 

池田さんというのはホンマでっかTVなどでもおなじみの生物学者です。

自分が生物専攻だったために内容が分かりやすいのかは実はよくわかりません 笑

 

とはいえ、生物といえば進化論でしょ、という定型的な考えに一石投じる内容で、

論旨の説明については具体例が多く挙げられていてわかりやすかった。

 

生物の形質は遺伝子で決められているというのはもはや常識の感がある。

以前紹介した本もそんな内容だった。

知るべきか 知らざるべきか ヒトの性(書評:言ってはいけない 残酷すぎる真実) - 白線から落ちたらマグマ

しかし、本書はそういうネオダーウィニズム(自然選択と突然変異による進化論)を否定する内容となっている。

その多くは昆虫記で有名なファーブルの研究を引き合いに出してのことなのだが、

さすが虫好きの池田さんといったところか。

冷静に事象を検討すれば例外なんてボロボロと出てくるのだ。

 

簡単なところでいうとなぜ人はハゲるのかを既存の進化論では説明できない。

以前に、人がハゲているのは水生の時代があったからだ、

クジラもイルカも体毛がないだろ?

という理論を知って、なるほどすげえ!と思っていたのだが、

こちらの本に、だったらアシカやオットセイは体毛生えてるぞと書いてあって

自分の浅はかさを思い知らされた。

 

よく遺伝子か環境かという議論がなされるけど、

確かに遺伝子は前提にある。生れ出たときの遺伝子情報は揺るぎようがない。

ただ、遺伝子は常に使用されているわけではなく、

成長のワンシーンとか、飢餓状態のピンチの時とか、

必要なときにしか使われないのである。

つまり、遺伝子が働くには相応の環境が必要なのだ。

 

環境によって遺伝子の使われ方が変わり、

ずっとその状況が続くとそのまま子の世代にまで遺伝する場合もあるらしい。

これはダーウィンではなく、ダーウィン登場によって棄却されたラマルクの理論である。

(キリンの首が長いのは葉っぱ食べようと首を伸ばしたからだ、という理論)

 

現在の生物学はヒトのゲノムが明らかになって、あらゆる遺伝子が露わになってはいるが、

その使われ方はさっぱりわからん、というのを

久しぶりに自分に思い出させてくれた1冊であった。

 

iPS細胞とかがつくられて、生物の研究はガンガン進んでいるのだけれど、

一方で、ヒトには何十万という遺伝子があって、

60兆もの細胞があって、

それが80年も生き続ける、

そう考えるだけで自分は創造神の存在を考えないわけにいかなくなる。

本当に人間は生物のシステムを制御できているのか?

 

海に雷が落ちたくらいで生物ができるのか?

こんなにも精巧で38億年もの間改良を続けるシステムが偶然の産物?

深淵すぎてぞわぞわする。

 

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