読書の道は安からず(書評:読んでいない本について堂々と語る方法)

「読んでいない本について堂々と語る方法」 ピエール・バイヤール 訳:大浦康介 ちくま学芸文庫

くやしくもタイトル買い

完成度:3 有用度:3 わかりやすさ:2 総合評価:2

 

紹介記事のコンセプトとしては当然、一押しの本のことを書きたいのだけれど

今回はそんなにおすすめの本ではないのでご勘弁...。

とはいえ紹介はしたいなと思った1冊。

 

我ながら本読みの部類だと思うけど、

にもかかわらずこんなタイトルに髪を引っ張られてレジに持って行ってしまった。

読まずに中身が理解できるなら本なんて金輪際買わずに済んでしまうはずだ。

そんな淡い期待をもってしまったのである。

 

ただし、残念ながら中身はそんな無粋な希望を叶えるようなものではなかった。

そもそも著者が指す「読んでいない本」というのは、

自分が考えるような「読むべき本」とは違う類だったのである。

 

著者は精神分析の学者であり、彼が想定する「読むべき本」とは

その分野の大学教授としては読んでいて当然の教養の部類の歴史的な思想家の本を指すのである(例としてプルーストが挙げられている)。

 

つまり、あくまで趣味の範疇での文学的な小説や、流行りのトピックを突いた新書、歴史とか経済とかの教養をかじるための本ではなくて、

例えば自分の仕事に深く関係していて、自分の取引先などからも当然読んでいると思われるような本なのだ。

たとえば大学生にとってのドストエフスキーではなくて、ロシア文学を専門とする教授にとってのドストエフスキーなのである。

そうなるとこの本の真なる読者対象はほとんどアカデミックな人物に限られる。

 

そのうえ肝心の「なぜ読まなくてよいのか」という点だが、

その辺の説明が外国人作家らしく、

回りくどくいうえに自慢交じりで要領を得るのに骨が折れる。

本文をみっちり通読するよりは巻末の訳者解説を読むのが、

それこそこの本を読まずに堂々と語る方法だと思う。

 

ただ、肝心のなぜ本を読む必要なんかないと言えるのか

という理由については共感できたので少し触れたい。

 

本所の中では何点か挙げられたが、個人的に一番しっくりきたのは、

ここでいう読むべき本というのはそれ単独で評価するものではなく、

その著者の生涯の作品群のなかのひとつとして評価すべきものだからである。

重要なのはその本ではなく、著者のそのライフステージにおける趣向であったり、生涯通しての主張であるのだ。

そのため、1冊ぐらい読まずとも知っている作品群からの推測で本の主張は理解できるというのである。

つまり、理解すべきは点でなく線なのである。体系なのである。

当てはめるジグソーパズルが欠けていても、上下左右のピースがあればどの形でそんな絵柄がはまるのかわかるのと同じだ。

銀次というバッターを知らなくても楽天イーグルスのバッターならコツコツ系なんだろうな、という推測が立つのと同じだ。

 

これは非常に重要。

誰もがわかっているのではあろうが、なかなか難しい。

ベテランというのはつまり体系を理解している人のことだと思う。

とはいえ0の状態から学ぶには点から理解していくしかない。

点がある量に達したときに急に芋づる式に知識が結びついて体系になる。

自分はその快感を求めて本を読んでいるのかもしれないなと思った。

 

この本を読んだところで結局、

どうやら自分はこれからも本を読み続けないといけないようである。

 

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