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あなたの「日本人像」は日本の歴史と合っているだろうか (書評:げんきな日本論)

「げんきな日本論」 橋爪大三郎×大澤真幸 講談社現代新書

神楽坂のかもめブックス(カフェ併設の本屋で書店員こだわりの棚がおもしろい)の新刊コーナーで発見

完成度:4 有用度:5 わかりやすさ:3 総合評価:4

 

ここ3,4年、こういった日本人とは? みたいな本をみるとつい買ってしまう。

自分は理系人間で、歴史の知識は中学レベル以下の自負があるけれど、

大人になってから歴史を知らないと今のことも理解できないことを察して

恐る恐る手を出している。

 

この本、著者というか上に挙げた二人の対談形式となっており、

歴史を扱う新書としてはかなり読みやすいと思う(新書のわりに400ページもあるけれど)

自分のような歴史リテラシーのないくるくるぱーみたいな場合は目次からジャンプして読まずに、一章目から読んでいったほうがよいと思う。

 

目次を見て、

「なぜ日本の土器は、世界で一番古いのか」とか

「なぜ日本には、天皇がいるのか」とか

「なぜ攘夷のはずが開国になるのか」など個人的に気になるのが並んでいて購入にいたったわけだが、

下地として、最近、司馬遼太郎の「燃えよ剣」を読んでて幕末が気になっていたのにも後押しされている。

 

全18章からなっているのだけど、

一通り読んでみて、

日本の歴史(政治)は天皇との付き合い方なんだなという印象をもった。

何かで以前、日本は宗教と政治を早々に分けられていて政治の天才だ、といわれていたのを聞いたけど、

確かに中国やヨーロッパは国王と教祖が1つになったり別れたり、

それを争って血みどろの争いを続けてきているのを考えれば、

日本はかなり平和だ。

 

国の王というのは基本的に強い奴がなるんだけど、

それだけではみんなついてこないので「威光」が必要になる。

それが宗教なわけで、俺はGODに選ばれたのさ、というのがセットになって盤石の支配となる。

 

もう書きたいことがたくさんあるのだけれど、

時代ごとの政治と天皇との立ち位置の変化(天皇からの任命とか、天皇が政治もやるとか、天皇の代理人とか)、

それと日本にもともとあった神道と、政治的事情で導入された仏教儒教などの宗教的ぐちゃぐちゃ感、

いつの時代でも滅ぼされておかしくない天皇が今もなおいるというのがおもしろいし、これを読んで天皇は「日本の象徴」というのがすごいしっくりきた。

あと、信長、秀吉、家康の志向の違いとか(信長すげぇ!)、

鉄砲があるのに武士には受けが悪いとか、

アメリカによる開国・不平等条約が日本的には大きな成功だったとか、

歴史のおもしろさを堪能できた(あくまで彼らの論なんだろうけど)。

 

この本を通じて日本の歴史のハイライトをみたけれど、

日本って邪馬台国ができる前から他国に比べて平和だし、

なんとなーくの空気感で煮え切らないままうまくやって争いを避けてきた、という歴史と、

自分の根底にあるぼやっとしてた「日本人像」が重なって、

自分のアイデンティティーを肯定された安堵感を覚えた。

 

グローバル化が進んで欧米の考え方を崇めたてる風潮があるけれど、

日本人なんだからしょうがないじゃん、といったポジティブな諦めを感じちゃう。

 

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